アトピー性皮膚炎ガイドライン2020年part 1

アレルギー
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久々にアトピー性皮膚炎の教育入院が来ました

ちょうど研修医も回っているため古い知識を教えないよう(威厳を保てるよう笑)最新のガイドラインを読んで知識を整理したいと思います




アトピー性皮膚炎ガイドライン2020年

 

アトピー性皮膚炎の病態

角層の働き

①体液の漏出防止②角層内の水分保持③生態防御に貢献するバリアを形成

角層のバリア機能が傷害されると

①非特異的な刺激に対する皮膚の被刺激性が亢進

②抗原感作や炎症が生じやすくなる

角質細胞間の脂質成分

①セラミド②コレステロール③遊離脂肪酸

ADではセラミドが異常に低下している

→角質細胞間脂質の機能が低下

→主に水分の保持機能が低下する

また角質細胞に含まれるケラチンやフィラグリンは

強固なバリア形成に貢献しているが

ADではフィラグリンの機能喪失型遺伝子変位や炎症に伴う発現の低下が確認されている

炎症のメカニズム

ヘルパーT細胞のうちTh2細胞はアレルギー反応に関わっている

皮膚バリア機能が低下すると抗原が皮膚に侵入しやすくなる

蛋白抗原やダニ抗原に含まれるプロテアーゼ作用(タンパク質分解活性)によって2型の免疫反応を誘導

表皮角化細胞から産生されるIL-33,IL-25,TSLPは病変部へのTh2細胞の遊走に関与している

*TSLP(Thymic Stromal LymphoPoietin)
上皮細胞が産生するアレルギー誘導性のサイトカイン
IL-2ファミリーに属するサイトカイン
T細胞やB細胞の分化にかかわる因子として同定されたが
近年アレルギー疾患における役割が注目されている
樹状細胞やT細胞に作用することでTh2細胞の誘導に
関与していると考えられている

血清中のTARCは短期病勢マーカーとして用いられる

TARC(thymus and activation-regulated chemokine)
表皮角化細胞などで産生されるケモカインの一種
皮膚の病変部位などにTh2細胞を遊走させる働きがある

2 型免疫応答はアレルゲン特異的なIgE抗体産生を誘導する

ランゲルハンス細胞、マスト細胞はIgE高親和性受容体(FcεRI)を発現しており、アレルゲン特異的 IgE を介 してサイトカイン、化学伝達物質(ヒスタミンなど) を放出し炎症を引き起こす

Th22細胞は活性化樹状細胞により皮膚に遊走されIL-22を産生し表皮肥厚(苔癬化)を誘導する

表皮の傷害により産生されるS100蛋白はリンパ球をさらに活性化する

かゆみ

ADの皮膚病変からサイトカイン・ケモカイン(IL-31,IL-4,TSLP など)

化学伝達物質 が放出され、神経に作用し痒みを誘発する

搔破することで皮膚炎はさらに悪化する

アトピー性皮膚炎などの慢性炎症では皮膚の感覚過敏が生じている

感覚過敏は乾燥や炎症に伴い皮膚知覚神経が皮膚表面の角層直下にまで伸びることにより生じている

遺伝的要因

覚える必要は全くないですが、最近はここまでわかっているんだな程度で流し読みしていただければ結構です

ADに関連した病因候補遺伝子として

CTLA4,IL18,TLR9,CD14,CARD4,PHF11, TLR2,SCCE,MCC,IL4R,GM-CSF,TIM1, CARD15,GSTT1,SPINK5,SCYA11,TGF β1,IL-13,RANTES,IL4,FCER1Bなどが報告されています

日本人の全ゲノム連鎖解析から2q12(IL1RL1/IL18R1/IL18RAP),3q21.33(GLB1),3q13.2(CCDC80),6p21.3(MHC領域),7p22(CARD11),10q21.2(ZNF365),11q15.4(OR10A3/NLRP10),20q13(CYP24A1/PFDN4)が関連候補遺伝子として報告されています

 

長くなるので今日はここまで、3回程度でまとめられたらと思っています・・・

次は診断基準、重症度の評価に関してアトピー性皮膚炎ガイドライン2020年part2

 

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