アトピー性皮膚炎ガイドライン2020年part2

アレルギー
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前回に引き続きアトピー性皮膚炎ガイドラインを勉強していきましょう

本日は診断基準、重症度評価に関してです




診断基準

①痒疹

②特長的な皮疹と分布

③慢性・反復性の経過

上記3つを満たすものを症状の軽重に問わずADと診断する

詳細は下記の図を参照ください

(加藤則人ら,アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年,日皮会誌,2016;126:121-155より引用)

皮疹の特長

乳児期(2歳未満)

乳児早期には頬、額、頭の露出部に乾燥次いで潮紅が生じる

顔面の症状にやや遅れて、頚部、腋窩、肘窩などの摩擦部に滲出性紅斑が生じ、体幹、四肢にも紅斑、丘疹が出現する

幼児期・学童期(2-12歳)

顔面の皮疹は減少

頸部・腋窩・肘窩・膝窩・鼠径・手首・足首などの皮疹が増加

体幹・四肢

乾燥したり鳥肌様の毛孔一致性丘疹がみられる

重症例

顔面・四肢に皮疹が拡大→搔破→びらん・血痂→肘・膝・手足に苔癬化・痒疹結節を生じる

思春期(13歳〜)

顔面・頸部・胸部・背部など上半身に皮疹が強い傾向

皮疹が顔面から頸部に顕著であるもの

体幹・四肢に痒疹を呈するもの

全身に拡大して紅皮症に至る重症例もある

重症度判定

(アトピー性皮膚炎2018年版より引用)

日常診療など:簡便な評価は上記で行う

臨床研究や論文では世界的にSCORAD,EASIなどが使用される

 

診断や重症度の参考になるバイオマーカー

血清IgE

アレルギー疾患で高値となるが、明確なカットオフはない(500IU/ml以上が多い)

アレルギー素因を表していると考えられ、ADの短期的な指標には使えないが長期的なコントロールの指標にはなりえる

AD患者ではダニ、花粉、食物など複数のアレルゲンに感作されている(特異的 IgE 抗体陽性)ことが多いが、必ずしも感作=症状誘発ではないため注意が必要

末梢血好酸球

ADでは気管支喘息(BA)やアレルギー性鼻炎(AR)よりも好酸球の増多が著しいことが多く重症度に相関して増加するので、病勢のマーカーとなり得る

血清LDH値

重症例では上昇し病勢マーカーのひとつとされている

皮膚の炎症による組織傷害を反映していると考えられ、皮疹がコントロールされると正常値となるが、もし低下しない場合は他の疾患の合併または鑑別を考慮する

血清TARC値

Thymus and activation regulated chemokine (TARC:CCL17)はケモカイン受容体CCR4のリガンドで、これを発現するTh2 細胞を遊走させる

AD患者の血清TARCは重症度に一致して上昇、血清IgE値、LDH 値、末梢血好酸球数と比べて、病勢をより鋭敏に反映する検査として保険適応がある

小児では低年齢、とくに2 歳以下で高値となることには検査値を解釈する上で注意が必要である.

血清TARC正常値
半年〜1歳<1,367pg/ml 1歳〜2歳未満<998pg/ml 2歳〜15歳<743pg/ml
成人<450pg/ml

 

次は治療に関して見ていきましょう

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