アナフィラキシーショックの対応

アレルギー
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アナフィラキシーショックが来ました!!まずは点滴取らないと

 

上級医
上級医

落ち着いてください、点滴よりも先に行うことがありますよ




アナフィラキシーショックの対応

5月末になるとそろそろ研修医の先生も救急当直に慣れ始めてきたころでしょうか

救急で急を要する疾患の1つアナフィラキシーショックの対応に関して

実際、目の当たりにすると頭の中が真っ白になることがあるので病態も含めて整理してみましょう

アナフィラキシーショックの重症度分類

(柳田紀之ら.日本小児アレルギー学会誌.2014;28:201-10.より改変)

上記のように重症度分類があります

重症度に応じた治療をしっかり覚えましょう

アナフィラキシーの治療フローチャート

フローチャートにまとめるとこんな感じになります

1つずつ確認していきましょう

アドレナリンについて

アドレナリンの効果

α1作用:血管収縮作用、気道粘膜浮腫の軽減

β1作用:心収収縮力増大、心拍数増加

β2作用:平滑筋の弛緩作用(気管支拡張)、ケミカルメディエーターの遊離を抑制

最高血中濃度到達時間:筋注では 8分、皮下注では34分(静注ではありませんよ!!)

アドレナリンの適応

・グレード3

・グレード2でも過去に重篤なアナフィラキシーの既往がある、症状の進行が早い、循環器症状を認める、気管支拡張薬の吸入でも呼吸器症状が改善しない

・その他各臓器の治療を行なっても改善せず、症状が増悪する場合

臓器症状別の治療薬

皮膚症状:紅斑、膨疹などヒスタミンH1受容体拮抗薬の適応です

 

呼吸器症状

上気道症状

喉頭絞扼感、犬吠様咳嗽、嗄声は喉頭浮腫を示唆する所見で、急速な窒息をきたす可能性があるためグレード3としてアドレナリンの筋注

下気道症状

グレード1に相当する間欠的な咳嗽の場合、経過観察でもよいが、過去に重篤な呼吸器症状、喘息の既往がある場合は早期にβ2刺激薬の吸入

グレード2に相当する軽度の喘鳴、断続的な咳嗽は速やかにβ2刺激薬の吸入、必要に応じて酸素投与

反復吸入で改善がなければアドレナリンの筋注(症状が進行する際は反復せずアドレナリンの筋注)

 

消化器症状

グレード1に相当する弱い腹痛、単回の嘔吐、下痢の場合、自然に軽快することもあるため経過観察

グレード2に相当する強い腹痛、頻回の嘔吐、下痢の場合、絶食、補液(制吐剤は使わない)

グレード3に相当するかなり強い腹痛、繰り返す嘔吐、便失禁の場合、アドレナリンの筋注

 

神経症状

小児では判断が難しい、活気の低下や眠気は代償性ショック症状の可能性もあるためバイタルサインをモニタリングしながら慎重に経過観察(抗ヒスタミン薬を使用した場合は副作用の可能性もあり)

グレード3に相当する明らかな意識消失、不穏状態はアドレナリンの筋注

 

循環器症状

これも小児では判断が難しい、掻痒感、啼泣だけでも容易にベースの心拍数から20以上上昇する

代償性ショックを疑わせる頻脈の場合は下肢を挙上し、アドレナリンの筋注

グレード3に相当する場合はアドレナリンの筋注

アナフィラキシーの病態

このようなことが体内で生じているわけです

アドレナリンはこの病態の全てに効果があります

なのでアナフィラキシーショックの第一選択薬となっているのです

*ちなみにステロイドはどうですか?と質問されることが多いですが、二峰性反応を予防する報告もありますが、エビデンスは立証されていません

アドレナリンがアナフィラキシーショックに対する第一選択薬
明日からの診療に少しでも役立てれば幸いです
参考文献

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