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最近免疫に関するニュースを読んでもわかるようになりました
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私たちの間では常識でも
一般の人からするとそうでないことが多々あります
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一般人向けのアンケートでインフルエンザに抗菌薬が効くと
回答した割合が44%って記事がありますね
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今回は下記のニュースに関連して
抗体に関して勉強していきましょう
![](https://shonika-takosu.com/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/d958af5f10dcf819a8e9df2a84611e23.png)
昨今のコロナ情勢でよく検査のことが取りあげられるようになりました
外来で質問された時にしっかり正しい知識を伝えられるよう勉強しましょう
【免疫とは】コロナで話題の抗体に関する正しい知識
そもそも抗体とは何であったか覚えてますか?
B細胞レセプターと同意義であることを学びましたね
![](https://shonika-takosu.com/wp-content/uploads/2020/07/975079-160x90.jpg)
今回は抗体に関して少し掘り下げていきます
抗体とは
抗体はグロブリン分画に属する蛋白質であり
免疫にかかわることから免疫グロブリンと呼ばれています
小児科では川崎病の治療としてよく用いられます
復習になりますが、抗原提示を受けたB細胞が活性化して
免疫グロブリンを産生します
働きとしては中和・オプソニン化・補体活性化などがありましたね
![](https://shonika-takosu.com/wp-content/uploads/2020/07/2029751-160x90.jpg)
ここからは免疫グロブリンの構造に関して説明します
すっ飛ばして図だけ見ていただいてもOKです
免疫グロブリン分子は2本の長いポリペプチド鎖(H鎖)と
2本の短いポリペプチド鎖(L鎖)から出来ています
H鎖1本とL鎖1本が対になっている部分をFabといい
H鎖2本でできている部分をFcといいます
抗体は2箇所のFab部で抗原と結合します
Fabの先端部分は可変領域と呼ばれ抗原に対する特異性に関与しています
可変領域以外の部分を定常領域といいます
文字にすると難しく感じるかもしれませんが図に描くと理解できると思います
抗体検査
一般的に抗体検査というのはIgGという抗体を測定しています
妊婦さんが麻疹や風疹に対して免疫があるか確認する時も
麻疹IgGと風疹IgGを測定しているわけです
IgGが上昇している=過去に感染したor予防接種をしたということです
ただIgGが上昇している=免疫があるとは言い切れません
IgGがどの程度上昇しているかが重要です
麻疹のIgGならいくつ以上
風疹のIgGならいくつ以上という基準があります
しかし、まだコロナIgGの基準はわかっていません
なので医療従事者は院内感染を防ぐため就職する際に
麻疹IgGや風疹IgGが基準より低ければ予防接種を行なってから働きます
免疫グロブリン
実は免疫グロブリンには5つのタイプが存在しています
◯◯レンジャーみたいな感じです
赤レンジャーがリーダー
青レンジャーがクール
と個性があるように、グロブリンにもそれぞれ個性があります
感染症の抗体検査に関係するものは主にIgMとIgGです
ちなみに変身前の本当の姿はこんな感じです
IgM
抗原が侵入した際に最も早く産生される抗体です
半減期は5日ほどです
補体活性化能と細菌凝集能により攻撃します
赤ちゃんも出生時から産生することができるため
出生直後にIgMが高いと胎内感染が疑われます
IgD
現在のところよくわかっていないのが現状です
IgG
血液中の免疫グロブリンの大半を占めるのがこのIgGです
IgMに遅れて産生されます
半減期も一番長い21日です
機能としては中和作用とオプソニン化作用があります
特徴として唯一胎盤を通過します
このようにIgGが上昇するまで時間がかかるので
コロナに感染していても測定する時期によって
コロナ特異的IgGが陰性ということが起こります
つまりIgG陰性=陰性証明にならないのです
またIgGはさらに4つのサブクラスに別れ働きが異なります
IgG1
ウイルスの蛋白抗原に対して働く抗体です
IgG2
肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌などの
多糖体抗原に対して働く抗体です
免疫不全の一種であるIgG2サブクラス欠損の場合
上記の菌が原因の肺炎や中耳炎を繰り返します
![](https://shonika-takosu.com/wp-content/uploads/2020/06/bd8de14ac6b6725bac556ab44f057479-160x90.jpg)
IgG3
IgG1と同様にウイルスの蛋白抗原に対して働く抗体です
IgG4
アレルギーを抑制する働きがあるとされています
その他にIgG4関連疾患が近年話題にあがっています
IgA
粘膜状に分泌型IgAとして分泌されます
病原体の侵入門戸となりやすい場所(上気道・消化管)で
局所防御に重要な役割を果たしています
母乳にも多く含まれるため
授乳期の児の感染防御にも貢献しています
IgE
アレルギー疾患で重要な役割を果たします
アレルゲンに暴露されると
アレルゲンに特異的に結合するIgEが産生されます
*スギ花粉症におけるスギ特異的IgEなど
IgEは肥満細胞の膜表面レセプターに結合します
再度アレルゲンに暴露した際に
アレルゲンが肥満細胞上のIgEに結合し
肥満細胞の脱顆粒を引き起こしてヒスタミンなどが放出され
アレルギー症状が誘発されます
まとめ
主に感染症の抗体検査に関わるのはIgMとIgG
IgGは遅れて出現するため陰性証明には使えない
IgEはアレルギーに関与している
参考図書
活字はきらい、とりあえず雰囲気をつかみたいという人におすすめ
メチャクチャわかりやすいです、こんな人の授業を大学で受けたかった・・・
もっとがっつり勉強したい人はこれがお勧め、上の本と同じ作者です
私は先にこちらを買い挫折し、上の本を読んでからこちらを読み直しました
最後に完全にマンガがいい方にはこちら、当院ICTの先生も絶賛しています
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