小児科医が勧める場面(救急、外来、入院)別のおすすめガイドライン10選

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後期研修が始まって自分で責任を持って治療を選択することになったけど本当にこれでいいの?
初期研修の時は上級医に相談して治療を行っていたけど、自分で選択すると責任感が全然違う・・・
患者さんから質問されて自信をもって答えられない・・・
入院と違って外来は時間がないから鑑別診断を考えるのが難しい・・・

小児科の後期研修を始めたみなさんはこんな悩みを持っていませんか?

初期研修と後期研修の一番の違いは責任感だと思います

この記事を読んで学べる事
✔︎ガイドラインをうまく使えるようになる
✔︎ガイドラインの弱点を知る

✔︎自分の治療に自信が持てる
✔︎鑑別診断の幅が広がる
✔︎同期の小児科医と比較して飛躍的に伸びるようになる

 

 

今回の記事の対象

✔︎小児科後期研修医で上記のような不安を1つでも抱えている方

 




小児科医が勧める場面(救急、外来、入院)別のおすすめガイドライン10選

こんにちは小児科のタコスです

 

世の中には便秘から心肺蘇生まで「ガイドライン」があふれています

医療における「ガイドライン」は

地域格差をなくすことを目標としています

例えば都会ではこんな治療を受けられるのに

田舎では専門家がいないから受けられない

そんな地域格差をなくすために作成されたもので

標準治療になります

 

研修医のみなさん

「ガイドラインさえあればOK」と思っていませんか?

あくまで標準的治療なので

「ガイドライン」に記載されていない

標準的治療を超える治療もあります

いわゆるexpert opinionと呼ばれるものです

「ガイドライン通り」の治療でうまくいかない時こそ

医師としての腕の見せどころです

 

そうは言っても

「ガイドライン」はその道の専門家が

数多くの文献を読み作成した努力の結晶です

とても勉強になります

その疾患に対する知識を深めるための一番の近道と言えます

 

✔︎ガイドラインの正しい使い方

最大限ガイドラインを活用するためには

自分が選択した治療方針に関する

引用文献に目を通しておくと

将来の医師としての力が飛躍的にのびます

 

✔︎ガイドラインの弱点

毎年作成されるわけではありません

ガイドライン発売から時間が経っている場合は

発売年以降に発行されている文献も調べましょう

 

それではガイドラインの使い方がわかったところで

数あるガイドラインの中から

私が実際に使用して特に役立ったガイドラインを

救急、外来、入院などシーン別に

ご紹介させていただきます

救急で役に立つガイドライン2選

腸重積ガイドライン

小児救急で見逃すことができない疾患ですね

✔︎嘔吐

✔︎間欠的腹痛(啼泣・不機嫌)

✔︎血便(イチゴゼリー用)

腸重積に関する診断、治療ならこれ1冊で大丈夫です

救急外来で使用することがほとんどなので

救急外来に1冊置いておくとよいと思います

小児けいれん重積治療ガイドライン

小児の救急要請といえば

「けいれん重積」は外せません

救急隊から

「けいれんは頓挫しています」

と連絡があり

実際搬送されるとけいれんが続いている

なんてことは珍しくありません

 

少し話はずれますが

けいれん重積の場合

けいれんを止めることだけに集中しがちです

しっかりA(気道)から順番に評価することを忘れないようにしましょう

いつも体型的なアプローチができるようになるために

PALSは受講するようにしましょう(私はPALSのインストラクターをしています)

小児では重症が少ない分

重症がきた時に頭を切り替える必要があります

一般外来は疾患を当てに行きますが

重症患者の場合は病態を把握しにいく必要があります

PALSを学ぶことで重症患者が搬送された時に

A-Eまで系統だてて診療することができるようになります

つまり、とりこぼしなく診察することができるようになります

「けいれんは止まった(安心)呼吸も止まった(絶望)どうしよう」

とパニックになる前に

呼吸が止まった時に容易に徒手換気ができるのかなど

先に評価しイメージしておくことが重要です

常に2手3手先をイメージしながら診療できるようになりましょう

先のことをイメージしているとパニックに陥りません

「これで止まらなければ次はこの薬」

「この薬を使用した際には呼吸が止まる可能性がある」

これは私個人の見解ですが

できない医師ほど救急の現場で怒鳴り散らします

怒鳴り散らす→周りのパフォーマンスも落ちる

といいことが全くありません

できる医師は常に先をイメージしているので

パニックにならず落ち着いて対応しています

リーダーが落ち着いていると

(内心はヤバイと思っていますが表情には出さず、先をイメージしておくことで自分を落ち着かせる)

周りも落ち着き良いパフォーマンスができます

 

こちらも腸重積と同様に

救急外来での対応が多いため

救急外来に1冊置いておき

救急要請を受けた後

救急車が到着する前に確認するようにしましょう

一般外来で役に立つガイドライン3選

慢性咳嗽ガイドライン

一般外来で案外苦労するのが慢性咳嗽です

咳嗽を主訴に救急を受診する患者さんに対して

「風邪のあと2ー3週間は続きますよ」

と説明して大半はよくなっていると思いますが

自分の外来の患者さんが

「1ヶ月たってもよくならない」

と戻ってきた時にどれだけ鑑別を挙げることができるでしょうか

「自分の外来は全員治っている」

そう思っている先生は要注意です

先生の診断に疑問を持ち

他の病院にかかっている可能性がありますよ

このガイドラインを用いることで

問診である程度鑑別をしぼったり

外してはいけない鑑別もカバーしているため

重宝しています

緊急性は低いですが、一般外来では重要です

外来をこなすようになった先生にお勧めです

 

食物アレルギーガイドライン

私の専門分野でもありますが

そもそも私がアレルギーを選んだきっかけは

一般外来を行っていて

アレルギーの心配で受診される方

とんでもないアレルギーの治療を受けている方が

あまりに多かったらです

よく内科の先生からIgEが高いという理由だけで

除去を指示されている子供をよく見かけます

間違えた指導を行わないよう

最低限の知識はガイドラインで確認するようにしましょう

アレルギーを勉強するまでは

アレルギー検査も正直どれを出していいかわからなかったです

どの検査をすべきかもガイドラインに列挙されています

こちらも外来を始めた先生にお勧めです

少し専門分野なのでガイドライン以外で

1冊読めば十分アレルギーに詳しくなれる教科書も紹介しておきます

アレルギーに興味がある先生方は是非こちらも参考にしてみてください

 

気管支喘息ガイドライン

現在はコントロールがよくなり

喘息でなくなる子供は減りました

私は研修初日に病棟で

重症の喘息発作の子供が意識不明となり

ICUに搬送されるところを目撃しました

そんな経験はない方がよいので

外来でうまくコントロールして下さい

この分野は生物学的製剤も出ているため

ガイドラインが変わるたびに確認しておくほうがよいでしょう

2020年11月に改定されました

要チェックです

入院で役立つガイドライン4選

入院して悩む症例は

不明熱や関節炎などではないでしょうか?

不明熱に関しては

大きく分けて

感染症、膠原病、腫瘍に分けられます

膠原病に関して

市中病院から診断をつけるなり

最低限のスクリーニングを行って

専門病院に紹介すると

「こいつ出来るな」と思われるので

ぜひ膠原病も鑑別できるように頑張りましょう

全身性エリテマトーデス診療の手引き

SLEのガイドラインになります

必要な検査

重症度に応じた治療まで網羅しています

最近ではサイレントループス(尿所見は異常ないが、腎生検すると所見がある)

のこともあり腎生検を推奨されているため

腎生検ができない施設では他の検査で疑った段階で

紹介するのが良いと思います

 

若年性皮膚筋炎ガイドライン

先程のSLEと次に紹介するシェーグレンと比較して

一番内容が濃いガイドラインとなっています

免疫抑制剤に関しても詳しく書いているため

非常に勉強になります

私はこのガイドラインを読むまで

Jo-1抗体しか知識がなかったです・・・

今は抗ARS抗体、抗TIF1-γ抗体、抗MDA5抗体、抗Mi-2抗体を測定します

最近の国試ではUpDateされているかもしれません

ちなみに夏場プールの時に顔に紅斑が出現し

アトピー性皮膚炎として治療

なかなか改善せず皮膚筋炎であった

というパターンもあるので鑑別の引き出しに入れておきたいですね

小児期シェーグレン症候群診療の手引きガイドライン

シェーグレン症候群は

特に不登校やODが疑われている場合に

スクリーニングするようにしましょう

小児では不定愁訴が多いです

こちらも耳鼻科、眼科的な検査まで何をすればよいのか

結果がどうあれば疑わしいのかなど

フローチャートもあるので非常に便利です

 

若年性特発性関節炎ガイドライン

私が後期研修を始めた頃は全く鑑別にも挙がらない疾患でした

後期研修1年目に市中病院で

全身型のJIAと関節型のJIAを経験したのは

運命だったのかもしれません

今はJIAの患者さんを担当するようになり

自分の中ではcommonな疾患になってきています

特に全身型のJIAは感染症と勘違いして

治療していると

マクロファージ活性化症候群を引き起こし

命を落としかねないので注意が必要です

 

新生児を診るなら必須のガイドライン

NCPR新生児蘇生法テキスト

これは必須です

できればNCPRのコースを受講した方が良いです

当直中に緊急帝王切開でいつ呼ばれるかわかりません

必ず蘇生のアルゴリズムだけでもいいので

目を通しておくことをおすすめします

最後に

ガイドラインばかりを購入して

机に向かって勉強しても力はつきません

診察→疑問→調べる→診察

この過程でドンドン力がつきます

その際にガイドラインをうまく使っていただければ

幸いです

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